いとこのお嫁さんは都会で生まれ育ち、都会の空気と水と文化で育った人だ。都会の空気と水と文化は田舎のそれらとは全く違う。そして田舎に暮らしてきた私たちのほうが、その空気や水や文化を知らず知らず体に取り込んでいる気がする。
誰かに言われたわけでもないし、確固たる信念を言語化できるほどに持っているわけでもないし、なんとなく生まれ育った雰囲気や子供時分の感覚が刷り込まれてしまっているというか、言葉にはしがたい微妙な、それこそ空気のようなものを知らず知らずに吸っている気がする。結婚を考えたときも、意図せずその空気の感覚を私たちは感じているのかもしれない。ふさわしいとかふさわしくないというよりも、「この子はうちの地元でやっていけるかどうか?」という感覚で判断している気がしている。
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都会の女性の感覚ではどうにもならに村社会が歴然とあるから、今日は都会の女性たちに向けて田舎の家というものを少し解説しようと思う。
親戚の集まりの時には、まずお台所を率先して担当する。祭りが盛んな地域であれば、地区の集会所でお手伝いを必要とされるかもしれない。長男のもとに嫁ぐならなおさらそのこと、肝に銘じておかねばならない。派手なことは意味もなく嫌煙される。ハンドネイルなんてもってのほか!つけまつげさえも、何か言われる可能性がある。とりあえず、ジーパンで。スカートもやめておいたほうが無難だろう。
お高く留まった印象を持たれないことが重要で、フランクに、下ネタのひとつも女同士でげらげらできるくらいがちょうどいい。お酌とまではいかずとも、徳利がカラになりそうなタイミングは見逃さないくらいの気配りは必要だ。
ご主人を呼ぶ時は、親戚の前では「さん付け」が無難だし、親戚の前ではご主人を放っておいても出席者すべてに挨拶はしっかりとしておいたほうが先々のためになる。
「○○くんはいいの?」
とその席のおばさんのひとりやふたりには言われるだろう。うまい返しがある、
「いいんです。帰ったら一緒にいられますから」
立てつつも、場を大切にしている印象が与えられ、しかも当たり障りがないから120点だ。
ある種、昔の政治家の妻を連想してもらったらわかりやすいかもしれない。これができなければ、都会から田舎に嫁に来るのは正直しんどいだろうと私は推測する。空気も水も文化も違う。「若い世代だからいいんじゃない?」がまだまだまかりとおらないのが田舎なのだ。そして、これは重ねて言うがふさわしいとかふさわしくないという話ではなく、都会のお嬢さんが結婚後に苦労をしないための技術であり、愛する女性が苦労しているところを見たくないからこそ田舎の男性はこのような判断基準を知らず知らずに持っているのだ。
ちなみに、私のいとこの奥さんはこれらがすべてできる。かなり完璧にこなしている。すごい人である。共働きだし、子供もいる。スーパーウーマンそのものだ。
朗報としては、都会で暮らしているのなら、その勤めは年に3回と割り切れる。盆と正月、そしてお祭り。お祭りのときは地区の集会所に樽酒でも送っておけばだいたいのことは許される。盆と正月には仏壇にお土産を持っていけば印象は20パーセントは上昇する。
お祭りは重要だ。地区とのつながりを大切にする義理のご両親への気配りにもなる。けちけちせず、ご主人の名前で送っておくような内助の功は最強だと思う。純米大吟醸、地元の酒が一番であろう。自分の地元のお酒を送るのは反対にマイナスになりかねない。初年には安全パイとしてご主人の地元の酒蔵の一級品がいいだろう。
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