宣戦布告



今日、私はぷんちゃんと袂を分かつ決意をした。あまりにも腹が立ったからだ。

私は父親譲りの大のヤクルトファンで、今年は数十年ぶりの優勝がかかっている。かたや、ぷんちゃんは別のチームのファンらしく、自分の職権を乱用し日本中を懐柔しようと画策している。世論を巻き込んで、自分の懇意のチームへの応援団を増やし、ヤクルトをつぶそうという作戦らしい。

だから私はぷんちゃんにはっきりと伝えた

「あなたがどうあれ、私はヤクルトへの愛は変わりません。ぷんちゃんがどこを応援しようと私はヤクルトに従います。日本シリーズで待っている」

たぶん、この日本シリーズで待っているという文言がぷんちゃんの怒りに火をつけたのだろう。しかもヤクルト愛なんて、言ったことも面白くなかったのかもしれない。

あのバカ!

今度は何をするかと思えば、私の嫉妬心をあおり、ヤクルトから自分の懇意のチームに寝返るように差し向けたのだ。歴代の彼女のようにすがってくるとでも思ったのだろう、浅はかな男である。心底失望した。

一瞬、突然のことで錯乱してしまったけれど、父親のベッドのわきで野村克也の名言集を読んで気持ちを落ち着かせた。

目を閉じたら、瞼の裏で銀河の行軍の女の総大将が陣の上座で祈っていた。声が聞こえた、参謀の甚吾や、分隊のそれぞれの分隊長が慌てふためき戦っている。

女の総大将は微動だにせず、祈りを続ける。眼前には地球が半円だけ見えている。

「行け!銀河の行軍、夢をあきらめるな」


私は目を開き、もう一度野村克也名言集を開いた。

「マー君、神の子、不思議な子」

マー君がいた楽天はパリーグだが、ヤクルトはセリーグだ。どちらにせよ、関係ない。クライマックスシリーズにしろ、日本シリーズにしろ、ヤクルトは勝つ!!負けるわけがない!!

「私は銀河の行軍の女の総大将だ!私が必ずヤクルトを勝たせる!」


ぷんちゃん、勝負がつくまであなたとは敵です。これは宣戦布告です。私はヤクルトのファンであり、どこにも浮気をするつもりはありません。たとえぷんちゃんの応援するチームだとしても、そちら様のチームを応援することはありません、そこら辺の女と同じに考えないでほしい。

私には私の大義がある、錦の御旗などなくとも必ずやヤクルトを勝たせる!!

あのすかした笑顔を地の底に沈めてやる、見ていろよ、くそポンコツが!

そして、最後に。

ヤクルトの選手コーチ陣、スタッフの皆様へ、

これはぷんちゃんと私の代理戦争にもなってしまいました。必ず日本一になるように。心配いりません、私が必ず勝たせます!ぶっ潰せ!!!!!



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